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価値観を共有できるNICTの環境で、次世代に引き継げる社会インフラ構築を目指して

高橋 健志

サイバーセキュリティ研究所
サイバーセキュリティ研究室 副室長(2023年4月当時)
2005年早稲田大学大学院博士課程修了。タンペレ工科大学にて研究員、早稲田大学にて日本学術振興会特別研究員、株式会社ローランド・ベルガーにて経営コンサルタントを経験し、2009年より情報通信研究機構に勤務。2019年8月から2020年3月までカリフォルニア大学サンタバーバラ校客員研究員、2021年4月から2022年3月まで内閣府出向を経験し、現在、セキュリティオペレーションの自動化技術の研究開発に注力。博士(国際情報通信学)、CISSP。

NICT入所のきっかけ

将来的に後悔をしたくない思いから、一度はビジネスの世界へ

大学では携帯電話、情報ネットワークに関する研究を行っていたのですが、博士課程へ進学すると同時にフィンランドの大学の研究員として2年間を過ごしました。その後、学振研究員となり日本に帰国し、博士号を取得した後、1年間のポスドクを経て、外資系の経営戦略コンサルティング会社に就職しました。フィンランドの学生さんは、IT分野の専攻でもITに関する研究だけをやっているわけではなく、ビジネス展開のお話や営業利益の数字を語ることもありました。これは、フィンランドの大学では学生は主専攻と副専攻を指定する必要があり、主専攻がITであっても副専攻でビジネスを指定している人が多いことが背景にあります。これは当時の日本ではなかなか見られない状況でした。私は研究だけで他の世界を知らないまま進んでいくことで将来的に後悔をしたくないという思いがあり、ビジネスの世界に飛び込みました。

そして30歳になり、自分の道を決めようとなったときに自分が持っていた想いは、自分の強みである情報通信技術をコアとして、次の世代につないでいけるグローバルな社会インフラや仕組みを作っていきたいというものでした。そこで当時、国際標準化活動を推進する人材を公募していたNICTに転職してきました。

仕事内容

研究室全体の成果最大化を追求していくことが重要。若い世代の育成も

現在はサイバーセキュリティ研究室の副室長としての管理業務を実施する傍ら、AIを用いてサイバーセキュリティオペレーションの自動化・効率化を実現する研究開発チームを牽引しています。

日々の業務の内容としては、各種の事務手続きのほかに、グループ全体の研究の方向性やテーマを考えたり、コーディネートする他、チーム全体のアウトプットを最大化するために環境を整えたり、関連部署との情報連携や調整等を行っています。各研究員・技術員はその分野の第一人者ばかりですので、誰よりもその分野に詳しい方々ばかりです。だからといって研究を各人に一切任せてしまうだけでは、チーム全体のアウトプットが最大化できません。自分自身も研究開発能力を研磨しつつ、研究員・技術員と一緒になって議論をし、その上で研究の進むべき方向性についてチームの合意を醸成していくことで、研究室全体の成果最大化を追求していくことが重要と考えています。

また、若い世代の育成も重要な課題です。自分自身はこれまで、留学や国際標準化活動、自分が連携したい大学との共同研究など、やりたいことを主張し、工夫し、経験するチャンスをいただいてきました。どれも貴重な経験で、それらの経験があって初めて今日の自分がいると考えています。今度は自分より若い世代にやりたいことをやってもらう、経験するチャンスを提供する側となり、そのための環境づくりを心がけています。同時に、Tier-I/Tier-IIの国際学会にチャレンジしてほしいとも考えており、積極的に働きかけるようにしています。

NICTで働くメリットと今後について

次世代に引き継げる社会インフラを構築したい。それを実現できる環境がNICT

私は、自分の子どもたちや次の世代に自信をもって引き継げる社会インフラを構築したいと思っています。その社会インフラでは彼らが安心して幸せな生活ができるようなものを作っていきたいと思っています。NICTではそれが実現できると思います。これが私がNICTでこれまでも、そしてこれからも働く理由です。同じような価値観を共有できる方もNICTには多いと思います。また、研究者はみんな、昨日より今日、今日より明日と成長していくので、毎日同じ話をすることがなく、頭の刺激になることもNICTで働くメリットだと思います。

現在、AI×サイバーセキュリティの研究開発チームは非常勤を入れると15名超になりますが、今後、チームをもっと大きくしていく必要があると考えています。ただ、これはチームに限らず、サイバーセキュリティ研究室全体の問題でもあるのですが、枠はあるのに人がいないというのが現状です。サイバーセキュリティという分野の特性もあり、事故を起こすことは絶対にあってはなりません。そのため、人が足りないからといって急いで採用するのではなく、時間をかけて大きくしていく方針です。そうしたほうが結果的に研究活溌のスピードも上がると考えています。

オフタイムの過ごし方

子どもと一緒に新しい発見を楽しんで

いま、オフタイムで一番楽しいと感じるのは子育てです。子どもには新しいことにどんどん経験してもらいたいと思い、さまざまなイベントに参加していますが、自分自身も経験してことがないことがたくさんあり、子どもと一緒に新しい発見を楽しんでいます。

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