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ユーザブルセキュリティの研究分野に出会い、NICTで新たなチャレンジを

長谷川 彩子

サイバーセキュリティ研究所
サイバーセキュリティ研究室 研究員
2013年、お茶の水女子大学理学部情報科学科を卒業。2015年、お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科理学専攻博士前期課程を卒業し、NTTに入社。NTTセキュアプラットフォーム研究所(当時)に入所し、ユーザブルセキュリティ分野の研究開発に従事。EuroUSEC2021 Best Paper Award受賞。2021年よりNICTサイバーセキュリティ研究室 研究員。

NICT入所のきっかけ

学術貢献を主軸にして新たなチャレンジを。職場の雰囲気の良さを感じたことが決め手

修士課程を卒業して民間の通信事業会社に就職し、セキュリティの研究所に配属されたのがセキュリティ分野に足を踏み入れるきっかけでした。学生時代から研究者になりたいという漠然とした思いがあったものの、就職するまでは自身の適性に合った研究分野がわからずにいました。そんな自分の転機となったのは、就職して2年目の頃に先輩から「面白い研究イベントがあるから行ってみてはどうか」と声をかけていただき、そこでユーザブルセキュリティという研究分野に出会ったことです。それまではセキュリティ研究といえば暗号やネットワークセキュリティなど、システムを中心に扱う研究というイメージを持っていましたが、人間の認識や心理を中心に扱う新興の研究分野があるとそこで初めて知りました。新しい研究分野に触れてワクワクしたのと同時に、この分野の研究者として活躍したいという思いを強くしたことを覚えています。

その後、本格的にユーザブルセキュリティの研究チームを立ち上げて研究開発を進め、30歳になった頃に自身が目標としていた国際会議に採択されるなど、満足のいく学術成果が出始めました。そして、学術貢献を主軸にして新たなチャレンジをしたいと考え、2021年秋にNICTに入所しました。NICT入所の決め手は、井上室長をはじめ、学会で会うNICTの研究者から感じた、職場の雰囲気の良さでした。

仕事内容

エンドユーザのセキュリティやプライバシーの悩みを理解しサポートをしたい

NICTでもユーザブルセキュリティの研究チームに所属しています。ほとんど毎日在宅勤務をしており、その日の予定や体調に合わせて、柔軟に勤務時間を決めています。自身が主体となって取り組んでいる研究に関する作業が勤務時間の7割程度、共著研究やコミュニティ活動に関する作業が3割程度です。

自身の研究に関する作業では、セキュリティの専門家ではないエンドユーザが、セキュリティやプライバシーの技術に対してどのような悩みを持っているか、どの程度の知識を持っているかを理解するためのユーザ調査を実施しています。将来的には、エンドユーザが参照しやすいセキュリティナレッジベースをウェブ上に公開し、受信したメールがフィッシングであるかどうかや、どのようなプライバシー設定が望ましいかどうかをエンドユーザが判断するサポートをしたいです。

今後の目標

国際会議へのコンスタントな採択に加えて成果の社会実装を目指す

今後もひとつひとつ着実にユーザの役に立つ研究を重ね、Tier-1、Tier-2と呼ばれる採択難易度や影響力が特に高い国際会議にコンスタントに採択されるようになることが個人的な目標です。もちろん、学術成果だけに終始するのではなく、学術成果の社会実装も重要なミッションだと考えています。

オフタイムの過ごし方

散歩中は、研究について考えていることも

オフタイムは家庭菜園や散歩やゲームをしたりしています。家庭菜園はハーブや野菜など、ベランダでできる範囲のものを栽培しています。散歩中は研究のことを考えていることも多いです。オフタイムと研究時間をきっちりと分けられる研究者もいますが、自分の場合はオフタイムでもついつい研究のことを考えてしまいます。夢の中で研究のことを考えていて、起きたらとてもいいアイデアが浮かんでいた、という経験もあります。

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